波の形

内海の穏やかな波しか知らないので、厳しい冬の日本海を想像することは難しい。荒れてくることを知らせるうさぎのダンスの波から白い蛇、そして龍に変身する波。そこから生まれる波の花。目を閉じて想像してみた。 ふゆのあらし 作者:野坂勇作 かがくのとも…

戦争の色

美しい青い空と黄色い小麦畑の風景は、黒と灰色の瓦礫に変わってしまった。 私の町に戦争がやってきたことはない。今の状況は遠い国の出来事のようにも思える。 それでも、テレビから流れる映像を自分と置き換えてみることがある。私は生き延びるために何を…

サバイバルゲーム

3番目の子豚のほうが狼りも一枚上手だ。狼も最後の詰めが甘い。最後に狼を鍋で煮て食べてしまうのもこの子豚らしい。兄さん豚が食べられたからという理由ではあるまい。生きていくうえで必然だったのである。 こどものとも復刻版Aセット〈創刊号~50号〉 作者…

当たり前の風景

車を運転中は信号の色を確認しているが、信号機については特に意識したことがない。そこにあるのが当たり前のような存在だ。その当たり前を維持できるのは、人知れずメンテナンスをしてくれる人たちのおかげだ。 こどものとも復刻版Aセット〈創刊号~50号〉 …

家を建てる

以前は建築中の現場で大勢の大工さんが働いているのをよく見かけた。建前の棟上げでお菓子をまく光景も見かけた。家造りの風景も時代とともに変化しているようだ。 こどものとも復刻版Aセット〈創刊号~50号〉 作者:M・フラック,アンデルセン,いぬい とみこ,…

油断大敵

狐はおだんごぱんの歌をほめて鼻の上で歌わせた。いきなり舌の上に乗せるのではなくワンクッション置いたのだ。歌をほめられて油断したおだんごぱんは、まんまと狐の計略に引っかかってしまった。 こどものとも復刻版Aセット〈創刊号~50号〉 作者:M・フラッ…

アナグマの気持ち

人間のテントの近くにやって来てフライパンに飛びかかって火傷したアナグマ。火傷した鼻を何とかしてほしいと人間に泣きながら唸るアナグマ。一年後この人間に出会ったアナグマは怒ったように草むらに隠れた。 こどものとも復刻版Aセット〈創刊号~50号〉 作…

サンタクロース

クリスマスの前の晩、煙突から降りてきたサンタクロースが子どもたちが用意した靴下にプレゼントを入れていってくれる。 当時(1959年)の子どもたちは、この外国のお話に胸をときめかせたであろう。 こどものとも復刻版Aセット〈創刊号~50号〉 作者:M・フラ…

北海道の風景

北海道といえば今ではリゾート地のイメージだが、明治より戦後に至るまで開拓地としての歴史がある。 鶏も放し飼いにしているのであちこちに卵を生み、それを見つけて集めるのが子どものみゆきちゃんの仕事だ。 こどものとも復刻版Aセット〈創刊号~50号〉 作…

サーカス

このサーカスには、象やクマだけでなく鶏、豚、うさぎ、イノシシがいて動物たちも楽しそうだ。 動物たちが楽しければ、見ている村の子どもたちも楽しいはずだ。 こどものとも復刻版Aセット〈創刊号~50号〉 作者:M・フラック,アンデルセン,いぬい とみこ,グリ…

流れてきたお椀

二人の兄が戻って来なかったので三番目の三郎が山梨もぎに出かけた。途中で婆さまから貰った刀は兄たちを飲み込んだ沼の主を斬りつけるためのものだと想像できた。 三郎が川で拾った欠けたお椀はどのように回収されるのか?それは三郎が助け出した青い顔をし…

グリムの絵

グリム童話の絵を堀内誠一が描いているのが新鮮だ。主人公が自分の小指を切って門の鍵穴を開けるのは民話が持つ残酷性を象徴しているが、ここでは太陽も月も人間には恐ろしくて意地悪な存在として登場する。それでも、コミカルで明るいタッチの絵が読んでい…

ねずみの能力

巣穴に寝場所を用意するだけでなく食料を貯蔵する場所も備えていたねずみは狐から逃れることができた。「備えあれば憂いなし」だ。加えて、巣穴を掘り返す狐には横穴から逃げおおせて「危機管理能力」も高い。 こどものとも復刻版Aセット〈創刊号~50号〉 作…

移民船を引くタグボート

この絵本の発行は1959年、タグボートが引いているのは1万トンもある新しい移民船「あるぜんちな丸」。この時代ブラジルに働きに行く人々を乗せた船が運行されていたことを初めて知った。 こどものとも復刻版Aセット〈創刊号~50号〉 作者:M・フラック,アンデ…

トロルの姿

マーシャ・ブラウンが描いた絵本に比べて色彩が豊かである。特にトロルの絵が具体的で服を着て靴を履いている。 北欧民話を元にしているので、読み手によって思い描くトロルの姿も様々であろう。 こどものとも復刻版Aセット〈創刊号~50号〉 作者:M・フラック…

はるですよ

はるこという名前の湖からやって来た色とりどりの風船が冬の間眠っていた生き物たちに春を知らせてまわる。カラフルな風船を春の使者として描いていて色彩豊かな春の風景と重なる。 こどものとも復刻版Aセット〈創刊号~50号〉 作者:M・フラック,アンデルセン…

飛行機

『こどものとも』が刊行されたのは1956年、戦後10年を経ていたが、飛行機=戦争というイメージが強かったそうだ(巻末)。 小さな島に不時着し修理されて再び飛び立つ飛行機と少女(まりちゃん)との交流は、飛行機の新しいイメージをもたらすだろう。 こど…

子どもは王さま

たまごの好きな王さまは、子どもたちがやってみたいことを体現している。遊び時間にお城の中を駆け足で周り、鶏小屋の鍵を外してしまう。秘密にしていた王さまの言葉を目玉焼きが喋ってしまうのも子どもたちを楽しませるだろう。 こどものとも復刻版Aセット…

働く人々

ダム工事は大企業という漠然とした存在ではなくそこで働く人々によって進んでいく。お昼休みの様子を描いた場面のおじさんたちの表情が豊かだ。命の危険と隣り合わせのときを経てダムが完成したおじさんの笑顔が眩しい。 こどものとも復刻版Aセット〈創刊号~…

サンタクロースに導かれて 

意地悪な主人のもとで一生懸命生き働き年老いてもなお主人に叩かれ道に倒れてしまった馬のブランキー。その日はクリスマスの晩でサンタクロースが降りてきてサンタクロースのそりをひくブランキー。 読んでいて『マッチ売りの少女』を思い出した。 こどもの…

猫のお腹

強欲な猫がオウムを始め王様や象を次々と飲み込んでいった。二匹のカニと出会ったことで結末は予想できたが、猫が自分でお腹の皮を縫うとは予想外だった。 こどものとも復刻版Aセット〈創刊号~50号〉 作者:M・フラック,アンデルセン,いぬい とみこ,グリム,ク…

渡り鳥

巣から落ちたサギのギーにえさをやっていたたろう。元気になったギーもサギたちとともに海の向こうに帰るときがやってきた。たろうの周りを飛んで西の空へ飛んでいったギーはきっと戻って来るだろう。 こどものとも復刻版Aセット〈創刊号~50号〉 作者:M・フ…

外の世界

ピーは見物人を乗せて港の中を回る遊覧船。港に入ってきた外国船の話を聞いて港の外ヘ出かけた。見渡す限りの青い海で夢中で波を滑っていると、一転海は嵐になってピーは波の谷へ突き落とされた。巡視船に助けられて港へ戻ったピー。港の中がいいと思えたの…

はちに乗って

つぼの中に隠れて眠ってしまったロクちゃんの後をついていった蜂。強欲なじいさんのお尻を刺してぐったりした蜂に息を吹きかけたロクちゃん。蜂はロクちゃんを不思議な世界ヘ誘ってくれた。 こどものとも復刻版Aセット〈創刊号~50号〉 作者:M・フラック,アン…

おひさまの住むところ

雲がかかって3日も出てこなかったおひさまを引っ張り出そうと、おひさまが住むところを尋ねる歩くひよこたち。雲に乗って月の案内でおひさまの家に着いた。雲がかぶさって真っ黒になったおひさまをみんなで洗ってピカピカにしたら、金のおひさまが空に出てき…

こま回し

いたずらでお寺の仕事はそっちのけで暇さえあればこま回しばかりしていたから、一ちょうさんは天狗にさらわれたのか? しかし、天狗たちから逃れることができたのは得意のこま回しだったから芸は身を助けるなのか? こどものとも復刻版Aセット〈創刊号~50号〉 …

くまだっこ(bear hug)

お母さんの誕生日にあげるものをずっと一緒に聞いてきたにわとりたちが、くまのおじさんに聞きに行くのはイヤだと言ったのでどんなことが待っているのかと不安でページをめくっていった。 くまだっこはお母さんだけでなくダニーにとっても嬉しいプレゼントだ…

不思議な花の世界

昼間遊んだ花たちに「おやすみなさい」を言ってから眠る文子ちゃん。すると花たちが彼女を不思議な花の世界に連れて行ってくれる。大人が読むとシュールな話だが、こどもの想像力は限りないかもしれない。 こどものとも復刻版Aセット〈創刊号~50号〉 作者:M…

動物園のオーケストラ

最初のページで町の人たちが動物園へ急いでいる様子が描かれている。その訳と何が始まるのかは最後のページで明かされる。 長新太さんの初期の絵だと思われるが、細かなところまで描かれていて読んでいて楽しい。 こどものとも復刻版Aセット〈創刊号~50号〉 …

ちいさなきかんしゃ

急行列車を引っ張る大きい機関車に憧れていた小さい機関車は、雪が激しく降る中を大きい機関車を引っ張っていった。雪が深くて通れそうにない急行列車を手伝ったのだ。保線区の人たちの助けもあって無事に町に着いた。 こどものとも復刻版Aセット〈創刊号~50…